おはようございます。sootoの足立です。
寒い日が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
さて、今日は【家づくりを上手に進めるための手順】についてお話しします。
この手順はこれまでお客様の家づくりを行ってきた中で、一つひとつ時間を掛けて見えてきたことです。
「本当に良い家になったなあ」と心から喜んでいただけたお客様との家創りを振り返り、つぎの5つの項目にまとめてみました。
① ほしいものは?
② 求める条件は?
③ かける費用は?
④ 計画地は?
⑤ 頼みたい相手は?
項目を読むだけでも少しは参考になると思いますが、すべての内容を順番に理解していただいた時にはじめて、「(自分や家族にとっての)本当に良い家とは何か」が分かります。
それでは今回は、一つ目の【①欲しいものは?】についてお話しします。
まず始めに質問させてください。あなたが欲しいものは何なのでしょうか?
家?
箱?
もちろん家づくりを進めていくのだから欲しいものは当然 “家”なのですが、そもそも“家”とは建築基準法を遵守して建築される建築物のことを指します。
■建築基準法 第一条■
この法律は建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。
昭和25年に建築基準法が定められて以来、天災や時代の流れに合わせて法改正は絶えず行われています。
大きな改正でいうと、1995年の阪神淡路大震災での教訓を経て2000年に構造基準が改正。また、2005年の構造計算偽装事件発覚後には、建物の計画段階での構造チェック体制が改正されました。
一般の方にまで伝わる情報はごくごく一部ですが、実はこれまで数多くの法改正が行われています。
そして“家”とは、そのような法律や条例に守られ、その時代ごとで最低限以上のものが確保されている建物と私は考えています。
実際、すでに建っている既存建物の大半は、建築当時の法基準を守って建築されていても “既存不適格建築物” として、現在の法基準では認められない建物となっています。(一般の方だと驚きますよね)
この“既存不適格建築物” は、(一部重大な構造不適格などは除き)今の所そのまま住み続ける分には特別大きな問題はありません。
しかし、増改築や売却時には購入者にとっての税制や資金調達などのデメリットが数多く存在します。
(デメリットについては救済処置もありますが、全ての建物がこれに当てはまるものではなく、中には数百万円も費用がかかることも…)
このような理由から、これから建てられる家は最低限予想される未来まで“既存不適格建築物”とならないようにする必要があるのです。
以前のブログでもお話しましたが、現在の法律では20年以上前の基準に満たない性能のお家や、現行基準のはるか上をいく性能のお家がしっかりとした判断基準をお客様に提示されないまま建築されています。
“家”が欲しいと考えているのであれば、こういった最低限予想される未来にも注意して計画を進めてください。
すでに年間販売棟数が150棟以上の事業者(それ以下の事業者は対象外)には、トップランナー基準として性能に対しての報告義務や罰則規定が設けられています。
さらに今後、
2030年まで段階的に全新築建物の性能についての説明が義務化
↓ ↓ ↓
現トップランナー基準の義務化
↓ ↓ ↓
さらにZEH※相当の性能の義務化(ZEHの意味はブログの最終に記載)
↓ ↓ ↓
最終的に新築建物全戸のZEHの義務化が予想されます。
大袈裟と思われるかもしれませんが、これが皆さんの知らない水面下で進んでいる話です。
これ以外にも構造を含め、法改正により建物の性能が向上する要素はありますが、皆さまが“箱”ではなく、“家”が欲しいと思っているのであれば、上記をしっかりと考えて準備する必要があります。
余談ですがsootoが考える“家”とは、性能と建築手法で年間を通して快適な住環境(室温)を維持できる建物のこと。
逆説的に言うと、快適な室内環境が整えられない=生命、健康が守られない家は“箱”であり、“家”ではないとも考えています。
まとめると、これから家創りを始める方は10年程度で“家”で無くなるものを建ててはいけません。
また、私たち建築に携わる者はそもそもそのような建物をお客様に提供してはいけないのです。
家づくりを考えておられる方は、まず“家”が欲しいのか、“箱”が欲しいのかをしっかりと自問してください。
少し厳しい指摘かもしれませんが、これが家づくりを上手に進めるための最初のステップなのです。
次回は【②求める条件は?】について お話しさせて頂きます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
※ZEH(ゼッチ)…Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略。創エネ×省エネ×断熱で、家のエネルギー収支をゼロ以下にする住まいのこと。政府は「2020年までにZEHを標準的な新築住宅に」という目標を掲げています。